今回はVDC(バンガード・生活必需品セクターETF)について分析していきます。
バンガード社が運用している米国ETFで、生活必需品セクターで構成されているETFですが、その企業をみると高配当銘柄や連続増配銘柄がとても多いです。
VDCの概要
VDCは米国の生活必需品セクターの大型株、中型株、小型株に投資し、MSCI USインベスタブル・マーケット・生活必需品25/50インデックスへの連動を目指しています。このセクターは、食品・飲料・タバコの製造業者・流通業者のほか、非耐久家庭用品・パーソナル用品の製造業者など、傾向的にそれほど景気循環に対して敏感でない業種の企業で構成されています。ファンドはフルインベストメントを維持します。
ベンチマーク :MSCI USインベスタブル・マーケット・生活必需品25/50インデックス
経費率:0.10%
ETF純資産総額:45.3億米ドル(約5,000億円、2018年11月30日現在)
設定日:2004年1月26日
銘柄数は93で構成されており低コストで幅広い銘柄に分散投資することができます。
保有銘柄
保有上位10銘柄と純資産額に占める割合(2018年11月30日現在) | |
Procter & Gamble Co. | 12.15% |
Coca-Cola Co. | 10.45% |
PepsiCo Inc. | 8.76% |
Walmart Inc. | 7.25% |
Philip Morris International Inc. | 6.74% |
Costco Wholesale Corp. | 4.62% |
Altria Group Inc. | 4.52% |
Walgreens Boots Alliance Inc. | 3.97% |
Mondelez International Inc. Class A | 3.73% |
Colgate-Palmolive Co. | 2.87% |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 65.0% |
P&G、コカ・コーラ、ペプシコ、ウォールマートなど日本でもなじみのある企業ですし、タバコが生活必需品かどうかは別としてタバコ銘柄もフィリップモリス、アルトリアグループと上位に入っています。
生活必需品セクターですのでハイテク銘柄であるGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)は一つも入っていません。
上位10銘柄の合計割合が65%と1銘柄の占める割合が高いため、足を引っ張る銘柄が一つでもあればその影響が全体に及ぼすのは大きくなります。
セクター別の構成比率
清涼飲料 | 20.7% |
家庭用品 | 20.3% |
包装食品・肉 | 16.6% |
(大型)スーパーマーケット | 12.0% |
タバコ | 11.5% |
薬品小売 | 4.0% |
パーソナル用品 | 3.6% |
農産物 | 2.8% |
食品流通 | 2.8% |
蒸留酒・ワイン | 2.6% |
食品小売 | 2.2% |
醸造 | 0.9% |
生活必需品セクターの中でのさらに細かい分類はこのようになります。
過去の成績

リーマンショックではさすがに大きく下落していますが、その後は右肩上がりに上昇していき2011年にはリーマンショック前の最高値を超えてその後も上昇を続けていましたが、2015年以降はほぼ横ばいとなっています。
リーマンショックを経験しており、かつ回復も早かったETFというのは大きな強みといえます。
分配金についてはやや波があります。今年2018年3月の分配金は前年同時期と比べて35%減少、前回の分配金の約半分と大きく減少していたのですが、6.9.12月の分配金は前年を上回ったため、年間での分配金としては若干の減少に留まりました。
2018年分配金
日付 | 分配金 |
2018/12/13 | 1.4036 |
2018/9/24 | 0.8211 |
2018/6/28 | 1.2474 |
2018/03/16 | 0.5357 |
合計 | 3.6478 |
2017年分配金
日付 | 分配金 |
2017/12/14 | 1.0357 |
2017/9/27 | 0.771 |
2017/6/28 | 1.037 |
2017/3/24 | 0.834 |
合計 | 3.6777 |
2016年分配金
日付 | 分配金 |
2016/12/14 | 0.968 |
2016/9/20 | 0.844 |
2016/6/21 | 0.763 |
2016/3/21 | 0.634 |
合計 | 3.209 |
2015年分配金
日付 | 分配金 |
2015/12/23 | 0.898 |
2015/9/23 | 2.396 |
合計 | 3.294 |
2014年分配金
日付 | 分配金 |
2014/12/18 | 2.417 |
合計 | 2.417 |
S&P500やVYMとの比較
同じバンガードのS&P500連動商品のVOOやVYMと比較したチャートです。

青色がVDC、水色がVYM、紫色がVOOです。
2018年11月30日 | 1年 | 3年 | 5年 |
VOO | 6.22% | 12.12% | 11.08% |
VYM | 4.56% | 11.62% | 10.29% |
VDC | 3.43% | 7.23% | 8.30% |
VDCは2016年以降のパフォーマンスが冴えないため、S&P500やVYMに大きく負けています。
しかし、もっと長期で見てみると話しは変わってきます。
VOOの設定2010年でリーマンショック後ですので、VOOの代わりにSPYで比較したチャートです。

VDCが最もパフォーマンスが良いのがわかります。特にリーマンショック時の下落が小さいのと回復が早いのが目につきます。
2016年以降の右肩上がりの相場には乗り遅れましたが、生活必需品はディフェンシブな銘柄で構成されているといえます。
まとめ
直近のパフォーマンスはS&P500に負けていますが、この先の暴落に強いと予測されます。100銘柄近く分散されている割には上位10社の構成比率が65%というのは少し集中しすぎているとも思いますが、個別株に比べると十分分散されていますので、良いETFだと思います。
私も先進国株式のうち12.5%はこのVDCを保有していく予定です。