2018年11月19日、日本を代表する自動車メーカーである日産自動車を再建し現会長であるカルロス・ゴーン容疑者は有価証券報告書に役員報酬を5年間で50億円程過小に記載したとして、代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者とともに金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたというニュースが流れました。
それから連日このニュースが様々なところで流れて色々な解説もありますが、肝心の差額の報酬をどのように支給してどのように受け取っていたのか?
その差額の報酬の税金は払っていたのか?払っていなければ脱税にもなるし、払っていたらすぐにバレる様な事をなぜしたのか?などずっと疑問に思っていました。
それ以外にもいくつも疑問があったのですが、その手口が少し報道されるようになりました。
差額の役員報酬の受取方法
株価連動型インセンティブ受領権(SAR)という形で受取っていた報酬を有価証券報告書に記載していなかったという事が明らかになりました。
SAR(stock appreciation right、ストック・アプリシエーション・ライト)はストックオプションと似ている制度で、役員や従業員に対して、一定期間で起こった株価の上昇分に対する利益を現金で支給する権利を与えるものというものです。
通常、現金で支給する役員報酬は会社の財務部門など複数人が関与する事になるので、ゴーン個人が虚偽記載をすることは不可能だが、株価連動給与というものであれが、権利を行使するまでは表にでないため第三者にはわかりにくいという大きな問題があることも今回の事件で明らかになりました。
日産の他の役員はこのSARでの報酬を有価証券報告書に記載していたが、ゴーン氏はゼロと記載していたのである。
その他の疑問
まず、単純に今回逮捕された容疑である有価証券報告書の役員報酬の過小記載だけであれば、税金をきっちり支払っているの仮定した場合、それほど悪質な事例とは思えません。
この事によって誰かに大きな損害を与えたわけでもありません。
むしろ、日産の役員たちはこの事を知っていたはずですので、ゴーン氏とケリー氏だけに責任をなすりつけてこの事件を終わらせようというのであれば全く筋が通りません。
日産自動車という会社は被害者ではなくて違法行為をした当事者です。
ということから考えると、この逮捕は入り口で他にも何かあるのか?ただの日産社内の権力争いか?日産の大株主のルノーの大株主はフランス政府であるが、日産はルノーとフランスとの資本関係を解消するためにこのような荒治療でゴーン氏をはめたのか?などといった疑問がありますが、真実が明らかになる事はないかもしれません。
日産株ホルダーの私はどう動くべき
私は日産自動車の株式を200株だけ保有しています。
逮捕の翌日の20日は大きく値を下げましたが、21日は持ち直しました。
今後、どのような材料が明らかになっていくかによって変わるでしょうが、ここから半値になるという可能性は低いと思います。
むしろ、懸念材料は減配です。私も含めて多くの日産ホルダーは配当目的だと思います。
ゴーンがいてルノーがいてフランス政府がいるという状況で日産はルノーに利益を還元するためにゴーン主導で高配当を維持していたと推測されますので、ゴーンが失脚するこの先に現状のような高配当が維持される可能性は微妙かと思います。
但し、日産はタコ足配当ではなくて、2018年の配当性向は38.8%、2017年の配当性向は28.9%とそれほど高くありませんので、現状くらいの配当水準を維持してもらえる可能性もあるかもしれません。
どちらにしろ、もう少し様子見して考えようと思います。このような事があるとやはり個別株は色々とリスクがあると改めて思いますね。しかし、日本株のインデックスファンドやETFは買う気があまりしないので、これからも日本株は個別株、米国株はETFで投資するのは変わらないでしょう。