数字をいくつも並べている表よりも、グラフ化して視覚的にわかりやすくすると一目瞭然で増えているか減っているか、どの程度増えているか減っているかもすぐにわかりますので、データはグラフ化する事が多いです。
しかし、私はあまりグラフを信用していません。むしろデータは数字で欲しいと思うタイプです。
それは、グラフは恣意的に作成すれば本来の数字と違った誤った印象を与える事が可能だからです。読み手からするとグラフに騙される事があるという事です。特にテレビのグラフはおかしなものばかりです。
同じ数字でもグラフの作り方で印象がまるで違うという事を見ていきたいと思います。
明らかにおかしいグラフ
おかしいグラフ①

明らかに面積がおかしいですね。公務員の給与が不当に高いという事を強調したいのでしょうか?
数字がなかった場合、1999年度では公務員は民間の約2.5~3倍、2009年度では約5倍ほどあるのかと勘違いしてしまいます。
上記の数字をExcelに入力して作成したグラフは次のようになります。
(単位:万円)
印象が全然変わると思います。確かに民間と国家公務員の給与差額は広がっていますが、おかしなグラフと違って本当の差額が面積の差となっています。
おかしいグラフ②
出典:https://twitter.com/jcpkenchanu/status/1020554550120394752
これも明らかに面積がおかしいですね。
どちらともいえない34%が反対の42%よりも大きくなっています。
意図がよくわかりませんが、反対の意見を少なく見せたかったのでしょうか?
上記の数字をExcelに入力して作成したグラフは次のようになります。

2つしか具体例を挙げていませんが、テレビや新聞などのマスコミが作成したグラフは本当にひどいです。他にもたくさんおかしなグラフがあります。印象操作をしたいのがあまりにも露骨で、ますますマスコミ不信になっている人が多いという事に気付いていないのでしょうか?それともまともな情報リテラシーのある人は相手にせず、情報弱者だけを洗脳したら良いと開き直っているのでしょうか?
間違いではないが全体を表示していないグラフ
原点がゼロでないグラフ

出典:https://www.kepco.co.jp/ir/financial/graph/index.html
これは関西電力の営業収益のグラフです。下限がゼロになっていません。
グラフだけを見ると2013年から2014年に単独売上が倍増したような印象をうけますが、実際の動きは次のようになります。
印象はだいぶ変わると思います。
(単位:億円)
原点が異なるチャート
折れ線グラフの場合は原点はゼロでなくても良いのですが、上限と下限の数字の取り方によって印象が異なってきます。
VTIのチャートをヤフーファイナンスのものとSBI証券のものとで比較してみます。
ヤフーファイナンスでのVTIのチャートです。上限メモリ152.50、下限メモリ130となっています。

SBI証券でのVTIのチャートです。上限メモリ155、下限メモリ125となっています。

ヤフーファイナンスの方が、上限下限とも狭い範囲でチャートを作成していますし縦軸の長さも長くとっていますので、下落時の落ち方が暴落のように感じないでしょうか?
2月の下落も10月の下落もSBI証券のチャートよりもヤフーファイナンスのチャートの方が急降下して暴落というイメージになると思います。
しかし、どちらも実際はどちらも同じ数字です。
見せ方というか数字の軸と長さになどによって、同じ数字でも異なる印象を受けるという事がわかると思います。
まとめ
グラフというのはきちんとしたものであれば視覚的に脳に入ってきますので、数字の羅列よりもわかりやすくてよく使われます。
しかし、そのグラフだけを過信して信じてしまうのはとても危険です。世の中には明らかにおかしいグラフが山ほどありますので、そのグラフを提供している側の意図を考えるようにしてだまされないようにしましょう。
そして、だまされてはいけないものはグラフだけではありません。グラフ以外の情報も本当の情報もあれば嘘の情報もあります。そのような間違った情報を鵜呑みにしないように情報リテラシーを身に着けるようにしましょう。