大学進学の価値をちゃんと考えよう、大卒中小企業より高卒大企業の方が生涯賃金は高い!

現在は大学に行く事が当たり前といっても良い時代で、大学に行かないとまともな給料がもらえないとかブラック企業でしか働けないとか思っている人が多いようです。

2018年の大学進学率は54.7%という事で、現在は過半数の人が大学に進学しています。(文部科学省、学校基本調査、平成30年度結果の概要より)

日本学生支援機構の調査によると、そのうち50%以上の学生は奨学金を借りながら大学に進学しているのですが、そもそも大学を卒業すると年収は高いのは本当でしょうか?そして生涯賃金も高くなるのでしょうか?

 

賃金・生涯賃金のデータ

大卒と高卒の賃金、企業規模別の賃金

厚生労働省、平成29年賃金構造基本統計調査より引用

第3表から平均賃金はやはり大卒の方が高い事がわかります。第4表からは大企業が中小企業よりも平均賃金が高い事もわかります。

これらは、ある意味当たり前といいますが、ほとんどの人の認識どおりだと思います。

付表1の学歴、年齢階級、性、企業規模別賃金をみると確かに大卒や大企業は賃金は高いです。では、大卒中企業や大卒小企業と高卒大企業はどうなっているいるかというと大卒中企業や大卒小企業の方が高卒大企業よりも高いので、このデータからも大卒の方がやはり賃金は高いと言えます。

ただし、このデータは時間外手当や深夜勤務、休日出勤手当を差し引いた金額になっています。大企業の方がそのような手当は厚いので、実際の年収で比較したデータを見てみたいものです。もしかしたら、高卒大企業が残業手当が多くて大卒中小企業の賃金を逆転するかもしれません。

大企業と中小企業、学歴別の生涯賃金

独立行政法人労働政策研究・研修機構、ユースフル労働統計2017より引用

 

この数字を見ると、確かに全体でみると大卒の生涯賃金は高卒よりも高いのがわかります。

しかし、大卒での中小企業よりも、高卒の大企業の方が生涯賃金が高いのがわかります。高卒大企業と大卒中企業がほぼ同じですが、高卒大企業と大卒小企業では高卒大企業の方が圧倒的に多いです。高卒中企業と大卒小企業はほぼ同じです。つまり、学歴での差も大きいですが、それ以上に大企業か中小企業かの方が生涯賃金に与える影響が大きいのです。

 

大企業に入社する難易度

大卒で大企業に入れば賃金も生涯賃金も多いのは当然と言えば当然です。では大卒で大企業に入る難易度と高卒で大企業に入る難易度はどちらが高いでしょうか?

大卒で大企業に入社しようと思えば、国公立大学や私立でもかなり上位の大学(偏差値60以上)しかほとんど入社できないでしょう。平均レベルの大学から大企業に入社できるのはほんのわずかな人ですので難易度はとても高いです。私のような凡人は人生をやり直ししても無理だと思います。しかも入社してからも同期や先輩後輩は一流大学を卒業した出来る人間ばかりですので、そのなかでの出世競争を勝ち抜いていかなければなりません。

これに対して、高卒で大企業に入社するのはどれくらいの難易度なのでしょうか?もちろん簡単には入社できませんが、偏差値で考えるのであれば平均くらいの高校からでもたくさん大企業に入社しています。工業高校や商業高校の方が有利ではありますが普通科からでも可能です。大卒で大企業に入社するよりも大分難易度は落ちます。大学に進学したら入れなくなる大企業に高卒でなら入れる可能性もあるのです。

私の知人でも偏差値は中くらいの高校から大企業に就職して現在安定した収入で人生を楽しんでいる人が複数います。

 

高卒大企業のデメリット

確かに高卒大企業の方が生涯賃金という意味では安定して勝ち組といえるかもしれません。その代わり失うものもいくつかあります。

大学生活4年間を楽しめない

高卒で働くという事は、同級生が学生の身分で楽しく学生生活を送っているのに、毎日仕事をする事になります。夏休みや春休みなどありません。サークルやコンパで新しい出会いがあり楽しそうだなあ、うらやましいなあと思う事になるでしょう。周りに流されやすい人は、結構つらいものがあると思います。社会人でもコンパは行こうと思えば行けますし遊ぼうと思えば仕事をしながらでも遊べますが、やはり大学生という4年間を経験できないというのは人生にとって大きく、年をとってから行っておけば良かったなどと思うときもあるかもしれません。

大学生活でしか得れないものもある

大学生活でしか得れない知識もあります。大学生活でしか得れない友人関係もあります。大学生活でしかできない経験もたくさんあります。例えば、高卒で就職すると長期での留学や海外旅行で人生が変わるような経験をする事は難しいかもしれません。

大卒の同期や後輩と比較するとつらい

入社当初から数年の間は年上の大卒も後輩になりますので問題はないかもしれませんが、自分が30代や40代になるにつれて大卒の年下の後輩が上司になる可能性が高くなります。同期入社の大卒とは給料も離されますし、出世も違います。

これらの事を気にしない人は問題ないですが、気にする人にとってはつらいものがあります。

転職時・退職時

せっかく大企業に就職しても、現在の日本では一度退職してしまうと同じような待遇の企業に就職する事はかなり厳しいでしょう。これは大卒の場合でも同じ事が言えますが、高卒より大卒の方が若干転職活動に有利かもしれません。しかし、これから転職や解雇が当たり前の時代になると転職しても収入が下がらない時代が来るかもしれません。

 

まとめ

東大や国立大学、早稲田や慶応などの超有名大学であれば借金しても行く価値はあると思うのですが、並み以下の大学であれば高卒で大企業に入ったり公務員になるという選択肢も考えてはどうでしょうか?

もちろん、現在の日本は大企業以外は終身雇用はほぼ崩壊しており、これからは一つの企業に定年まで勤めるという社会ではなくなるでしょう。そんな社会で上記のような終身雇用を前提としたデータでどうこう論じるのは自分も若干おかしいと思っています。

私が一番言いたい事は、大学に行かないとブラック企業しか就職できないとか、大卒の方が生涯賃金が高い(半分は正解ですが)とか、自分勝手な思い込みで進路を決めるのではなくて、借金をして大学に進学するのであれば、借金に見合う得るもの(リターン)はあるのかよく考えましょうという事です。

将来やりたい事があって、その道に進むのが本人にとって一番良い事ですが、経済的価値も一つの大切な側面です。好きな仕事で収入もあるというのは最高ですが、世の中必ずしも第1希望通りにいかないものですので、第2の道、第3の道を考えるだけ考えても無駄にはなりません。また、元々好きだったことを仕事にするとその好きだった事があまり好きじゃなくなるというのも良くある話です。仕事はお金を得るため、仕事以外で人生を楽しむというのも一つの考え方です。

人生の価値観はお金だけで比べるものではありませんが、お金がないとやりたい事もできないし喧嘩の原因にもなりますのでお金はあるに越したことはないです。

 

これでも読んでよく考えましょう。

貯金兄弟 PHP文庫